Friday, September 28, 2012

No. 97: 東南アジア市場での、競争はさらに激化する。決め手はマーケティング (September 28, 2012)

Marketing:
味の素やキッコーマン等の、食品大手がアジア市場の開拓を本格化させる。現地のニーズにあった商品戦略で、拡大する中間層の需要を掘り起こす。食の高級化がすすむ東南アジアの市場は、プロクター・ギャンブル (P&G) とユニリーバの欧米メーカーの存在が大きく、これから激しい戦いが予想される。この欧米二強の動きを観察すると、日本企業のアジア市場拡大のヒントが見えてくる。

P&Gとユニリーバはアジア市場では、長年のライバル関係にある。中国ではP&Gがマーケットリダーであり、インドでは、ユニリーバがP&Gを抑えている。中国と違ってインドでは、まだ量販店チェーンが発達しておらず、個人商店が多いうえに、インターネットの普及も低い。そのため、ユニリーバを追いかけるため、P&Gは地道な努力をしている。例えば、政府の許可を得て、学校に行き、生徒に石けんで手を洗うことや、歯磨きの習慣を根付かせるプログラムを実行している。

両社は、インド市場を、三つのクラスに分けている。つまり、欧米と同じブランド商品を購入できる富裕層、急速に人口が増加する中間層、そして、ブランド商品を購入したことがない階級層の三つの層に分解している。P&Gは、富裕層でない消費者にも買える商品開発について、ユニリーバに対抗できていない。つまり、小さな容器に入れて、販売するという戦略で、ユニリーバに遅れを取っている。つまり、米国市場の発想では、一個20セント以下で商品を売るというアイデアが思いつかないのである。しかし、小袋で販売するという戦略は非常に重要である。事実、インドネシアでは、ユニリーバの売り上げの三分の一が、単価が20セント以下である。

これは、歴史から見ると、英国企業とオランダ企業が合併してできたユニリーバと、米国という巨大市場で、世界一のヘルスケアー企業となったP&Gの違いといえる。特に、P&Gは、本社のシンシナティを中心にした統合システムで有名である。両者とも、素晴らしい研究開発力を有しているので、商品にはそんなに差はない。やはり決めては、マーケティングということになる。いくら本社で戦略を練り上げても、現地の状況に即していないと、まったく役に立たない。

リンスあるいはかゆみ止めも可能なシャンプーを売るよりも、まずシャンプーする回数を増やすことが必要だとすれば、下水道等の社会インフラの面からも市場を観察する必要がある。日本企業が、商品を小袋にいれて小額単位で販売する戦略は100%正しい。しかし、社会インフラを考慮にいれて、地道に努力するという時間がかかるが、これしかないという戦略を地道に実行することが重要である。

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